昭和の鉄道光景⑭ホームの木製長椅子

▼あのころ国鉄、私鉄を問わずどの駅のプラットホームにもあった背もたれ付の木製長椅子だが、1人1人が座れるようになったプラスチック椅子が普及するにつれすっかり姿を消した。

・中央本線塩尻駅のホームにて。腰掛けた時の尻と背中にあたる木の感覚は今でもありありと思い出す。

・筑豊本線直方駅ホームにて。着物姿の婆様が座っている長椅子の脇にはくず入れが備え付けてある。吸殻入れがセットされた柱の向こうに見えるのはゴミ収集車だったか。まだセキュリティも喫煙もうるさくなかった佳き時代。

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昭和の鉄道光景⑬構内踏切

▼中央本線田立駅、下りホームにはD51に牽かれた塩尻行が停まっている。構内には跨線橋や地下道もないので、名古屋方面に向かう乗客はホームの中ほどにある構内踏切を渡り反対側の上りホームに行かなければならないが、塩尻行が出るまでは構内踏切は渡れないのでしばし鉄板のかぶさった階段付近で歓談中だ。「お嬢ちゃん今日はお出かけ?どこまで行くの」駅員が声をかけている。

▼塩尻行きを見送る駅長、ホームの駅員は階段口の鉄板を持ち上げ、乗客が踏切りを渡れるようにする。お母さんが背負っている男の子(ずいぶん大きいが)は女の子の弟か?遠い夏の日の一コマ。

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昭和の鉄道光景⑫縦書きの発車時刻表と運賃表

▼雪のかぶった丘のふもとにたたずむ石北本線西女満別駅、いかにも北海道らしいシンプルな木造駅舎だった。屋根から突き出た煙突から煙が上がっているのはストーブに火が入っている証拠だ。さあ早く待合室に入って冷たくなった体を温めよう。

▼西女満別駅の改札口に掲げられた木製縦書きの発車時刻表、表題が旧字体なのは、ダイヤ改正の都度時刻だけ書き直し板自体はずっと昔からのものを使っているのだろう。

▼切符売り場の運賃表。1等、2等の区分、旧字体の駅名からして発車時刻表と同時期に製作されたものに違いない。

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昭和の鉄道光景⑪ホームの水飲み場

▼一昔前まで幹線の大きな駅のプラットホームには鏡のついた洗面所や水飲み場があり、乗客たちは停車時間中に顔や手についた煤煙や汗を洗い流したり、洗顔や歯磨きまでした。飲料自販機がない時代なので、体に水分を供給したい時は蛇口をひねって直接生ぬるい水を飲んだ。そんな当たり前だった鉄道光景も旅のスタイルが変わり、衛生観念が向上するにつけ次第に姿を消して行った。

・羽越本線のある駅のホームの水飲み場、公園の片隅にあるような小さなもので飲みやすいようにちゃんとアルミのコップが備え付けてあった。

・ネガに写りこんでいた小荷物の横にある山陽本線小郡駅ホームの水飲み場、山陽本線下りホームには大きな洗面所があったように記憶しているがそっちは撮っていない。

・伯備線新見駅ホームの水飲み場、水飲み場と言うより、足洗い場or 掃除用具の洗い場のようだ。このタイプの水飲み場はたまに見かけるが蛇口から水道水を飲む人はもういない。

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昭和の鉄道光景⑩結露

▼外は冷たい雨が降りしきり凍える寒さだった。早く暖房の効いた列車に乗り込もうとホームを急いでいると、結露で曇った窓ガラスに子供が指でお絵描きをしている姿が目に入った。ほとんどの車両に空調設備が設置され、効果的な車内除湿が行われるようになると結露の発生は抑えられ、こんな光景は過去のものとなった。

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昭和の鉄道光景⑨木製改札口

▼真夏の宮津線丹後大宮駅、涼しい風の吹き抜ける待合室は子供たちの格好の遊び場だった。時刻は11時24分、ラッチにもたれておしゃべりに夢中な女の子たち、次の豊岡行は11時28分発なので、そろそろ駅員さんがやって来て追い出されるぞ。

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昭和の鉄道光景⑧ストーブ客車

▼貨客分離が完全でなかった時代、冬の北海道の混合列車には座席の一部を撤去して暖房用のダルマストーブが設置された。いかにも北海道らしい旅情を誘うストーブ客車だが、機関車から客車全体に暖気が供給される普通の客車と違って、ストーブの近く以外はあまりあまり暖かくない。下は釧網本線の混合列車の車内の光景、赤々とストーブの火は燃えているが、乗客は皆防寒服を着こんだままだ(帽子もかぶったまま)。それだけ室内の温度は高くないことが分かる。もちろん観光列車ではないのでストーブの上でするめを焼くなんて人はいない。

・ストーブにあたりながら熱心にファッション誌を読んでいた乗客、ふと気が付けば窓の外はもう真っ暗だ。(ストーブ客車には国鉄石北本線、釧網本線、私鉄の大夕張鉄道、日曹炭鉱専用鉄道等で遭遇した)

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昭和の鉄道光景⑦踏切り

▼紀勢本線紀伊田辺駅の和歌山寄りにあった遮断機のない踏切り、かんかんと警笛音が鳴る中C50が行ったり来たりさかんに貨車の入れ替えに励んでいる。線路のすぐ脇にはその名の通り「ふみきり食堂」なる大衆食堂が営業中だ。踏切で作業が終わるのを待っている人の中にはバイク姿が結構いる(2人乗りも)が誰もヘルメットなんかかぶっていない。ドラム缶の向うのお母さん?に連れらた女の子は昔見たこんな光景今でも覚えているだろうか。

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昭和の鉄道光景⑥列車の到着を待つ

▼駅前にはすぐ海が広がっていた夕方の八戸線陸中八木駅、そろそろ到着する列車に乗るため大勢の人たちがホームに出ていた。(上)談笑する若い女性たちの背後の木造家屋(小屋?)にはキンチョールのひし形琺瑯看板が貼ってある。(下)はちまき、長靴をはいたほおかぶりのジャンパー姿の男たちは漁業関係者だろうか?まだ人の心がおおらかだった時代なので乗客にカメラを向けても、あまり咎められることはなかった。

▼今の陸中八木駅。google mapをのぞくとがらんとした広場に小さな駅舎がぽつんと立っているだけだ。あの津波で何もかも消えてしまい周囲の風景は一変したようだ。

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昭和の鉄道光景⑤冬のプラットホーム

▼23時35分、凍てつく函館駅ホーム、3番線には札幌行き臨時急行、4番線には釧路行普通列車が発車待ちをしている。夜行列車や深夜に発着する連絡船の乗降客のためこんな時間でも弁当やお土産物を売るスタンドは開いていた。青函連絡船が本州と北海道を結ぶ大動脈だった時代の一コマ。

・夜行列車の座席で駅弁をほおばり、熱々のみそ汁でほっと一息・・

・吹き込んだ雪がカチカチに固まった長大なホームの先に青函連絡船の桟橋があった。

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